24日、東京・シーザージム渋谷にて山下実優が公開練習と記者会見をおこなった。現在、山下はかつてUWFインターナショナルでも活躍した大江慎さん(現シーザージム渋谷トレーナー)をコーチに迎え、シュートボクシングの練習を積んでいるという。公開された練習では軽いシャドーのあと、ボクシンググローブを着用してサンドバックへのパンチやキックを終えると、リングに上がって大江コーチの持つミット目がけてパンチ、ヒザ、ミドルキック、ハイキックと打ち込んでいった。熱のこもった公開練習を終えた山下は大江コーチとともにコメントを出した。
――シュートボクシングを習うようになったきっかけは?
山下 今年5月の北沢大会で赤井(沙希)さんに負けて自分に足りないものを考えて、このままじゃいけないなと思って今、シュートボクシングの練習をしています。もともと打撃をやっていたので、そこの得意分野をしっかり伸ばして、もっともっと強くなっていきたい。自分の性格上、やるからには全力でやりたい。しっかり練習してシュートボクシングの試合にも出れたらなと思います。
大江 赤井さんと試合したあとに、こっちに来るようになって僕が見るようになったんですけれど、もともと極真空手をやっていたみたいだし、キックのパワーや打撃のセンスというのはもともと持っています。それをプロレスやシュートボクシングに生かすには、また違う動きをしなきゃいけないので、今は改良、作り直しています。やっぱりプロレスも頭がよくなきゃできないので、そういうところで言うと山下選手は覚えがいいです。これはそのままシュートボクシングのほうに引っ張っていって、8月に大田区総合体育館で30周年の2DAYS(8・21&22)をおこなうんですけど、その初日が女子の興行(「SHOOT BOXING Girls S-cup 2015~格闘女志~」)になっていて、そこに間に合うようにやってみようかなと。彼女がプロレスと両立できるかはわからないけど、朱里選手のようなプロレスのベルトとKrushのベルト、2冠を持ってリングに上がるというのはプロレスとしても格闘技としてもすばらしいことですし、東京女子で闘いや強さを出せる選手が一人ぐらいいてもいい気がします。僕にもプロレス的な頭がありますから、彼女をそういう方向に引っ張っていくのもおもしろいかなと思います。
――8月大会という話があったが。
山下 プロレス同様、簡単に勝てる世界でもないと思うので、短期間なんですけどしっかり練習して、焦らず大江さんについていって、8月に出られるように練習を頑張っていかなきゃいけないと思います。
大江 プロレスデビューしたのはいつだっけ?
山下 2013年8月です。
大江 2年経つんだね。全日本女子プロレスでいうと、2年目なんかはボディースラムやドロップキックの世界ですけど、今の女子プロレスは上達も早いし、上のレベルにあがっていくスピードも速い。まだデビュー2年目、格闘技にかんしても極真空手やっていたというのはありますけど、今の女子プロの流れに乗って、プロレスなり格闘技なりを両立して上にあがっていけば、化けますよね。練習を見ていて、そういうエネルギーを感じますので、育てて一つものにしたいところですね。
――シュートボクシングの練習をやって、プロレスの試合で変わってきたなと思う部分は?
山下 シュート(ボクシング)の練習は体の軸、体幹を使った動きだと思っているので、その部分ではプロレスの練習、試合でも体の動かし方が変わってきているんじゃないかと実感できています。
――シュートボクシングの試合は見たことがある?
山下 生では見たことないですけど、映像では。大江さんの昔の試合も見たり。女子にもRENAさんがいるので、(試合映像を)見て。
――映像を見てシュートボクシングをやってみたいと思った?
山下 そうですね。ジャンルは違うかもしれないけど、昔からK-1やPRIDEをよく見ていたし、空手をやっていたというのもあって打撃に関してはすごく好きだったし。紹介していただいて、これを機会にというわけじゃないけど、もっともっと強くなるためにやってみたいというのがありました。
――空手と違ってシュートボクシングは顔面への打撃ありだが。
山下 プロレスの世界でもケガは隣り合わせなので、その辺の恐怖はありません。
――対戦したい選手はいる?
山下 まだ、自分がこの人とやってみたいというレベルにまで達していないけど、RENAさんは自分が地元の福岡で空手をやっている時から知っているぐらい有名だし、最終目標というか、そこまでいけたらという勢いでいきたいですね。
――大江さんから見て素質は?
大江 これがあるんですよ。女子プロレスでも僕のところに練習に来る選手はいるけど、まず来させられたのか本人がやる気があって来たのかという大きな違いがある。彼女の場合は自分でやりたくて来ているんですね。今、RENAという名前が出ましたけど、志しが高いんですよ。もちろん今はマッチメイクできないぐらい全然かなわないですけど、彼女はシュートボクシングや格闘技に対する志しが高いし、普段の練習を見ていても土台がある分、試合に出せるのも早いのかなと。あとは本人がどれだけ「継続は力なり」をやってくれるのかどうか。期待しています。
――どういう方向で育てたい?
大江 空手をやっていたので脚の力は強い、重いんですよ。これは女子選手にはないスタイルです。今の女子格闘技の傾向はボクシングにキックがくっついているスタイルが多い。そこで重い蹴りなり、いろんなことができれば、すごいインパクトになる。プロレスにいってもダイナミックな試合が見せられるんじゃないですか。プロレスでいいことは格闘技で使えばいいし、格闘技でいいこともプロレスで使えばいい。そのスタイルが完成すれば、プロレスでも格闘技でも注目されると思います。