前説
“気になる電車は阪神なんば線”難波リングアナの掛け声で大会がスタート!
難波リングアナウンサーがリングに登場し観戦にあたっての諸注意をアナウンス。インフォメーションコーナーとしてメインのUWFルールの説明や第8回東京プリンセスカップの大会スケジュールを紹介。そしてアップアップガールズ(プロレス)が不在のため、難波リングアナが気になる電車「阪神なんば線」を発表しつつ「東京女子プロレス、スタート!」の掛け声で大会がスタートした。
オープニングマッチ 15分一本勝負
ロックアップから試合はスタート。腕の取り合いからバックの取り合い、グラウンドでも両者は五分の攻防を繰り広げる。もかがヘッドロックで締め上げ遠藤の動きを止める。もかはネックロックからチンロック、サーフボードストレッチへと移行していく。遠藤が返そうとするも、もかは切り返しヘッドロック。遠藤がヘッドロックを取り返す。遠藤がショルダータックルで倒すと、もかもリープフロッグからバックエルボーを決めていく。ここで再び腕の取り合いになるが、遠藤が飛行機投げから腕を固めていく。遠藤がもかの左腕への集中攻撃。グラウンドで左腕を極めたままもかをコントロールしていく。遠藤が串刺し攻撃を狙うがもかが迎撃。向かって来るもかを遠藤は寝かせると、いきなり鶴ヶ城を狙うがもかは回避。遠藤の足を何度もマットに叩き付けていく。そのままレッグロックでもかが締め上げる。遠藤が蹴って抜け出すと、再度鶴ヶ城を狙うがもかは回避。そのまま逆片エビ固めで締め上げていく。遠藤はロープにブレイク。もかがボディスラムを狙うが、耐えた遠藤はエルボー。カニ挟みでもかを転ばせるとついに鶴ヶ城を決める。遠藤はドロップキックを決め、ミサイルキックを狙うが、コーナー上の遠藤をもかが捕らえるとリング中央でボディスラム。再度もかがボディスラムを決めると、ロープに走らせてもう一発ボディスラム。カウント2。もかがロープに走ろうとするのを捕まえた遠藤がキャメルクラッチで捕獲。もかは何とかロープにブレイク。遠藤がエプロンでの鶴ヶ城を狙うが、回避したもかがエプロンの遠藤にゼロ戦キック。遠藤がリング内に戻ろうとすると、もかはロープを挟んでのネックブリーカー。カウント2。追撃を狙うもかを振り払った遠藤がドロップキック。ここで遠藤のエルボーをブロックしたもかは正拳突き。ボディスラムを狙うもかを遠藤がリバースする。コーナーから遠藤がダイビング式の鶴ヶ城。続けてのミサイルキックはカウント2。遠藤が再度キャメルクラッチを狙うも、もかは羅生門に切り返す。極まりきる前に抜け出した遠藤がキャメルクラッチ。もかはロープにブレイク。ロープに振ろうとする遠藤だが、振り返したもかがゼロ戦キック。ここで残り時間1分。両者足を止めてエルボーの打ち合い。もかのバックエルボーに遠藤はドロップキックを返す。遠藤が鶴ヶ城を決めるもカウント2。残り時間30秒。もかが正拳突きから背中に手刀。羅生門を決めたところで15分時間切れのゴング。
【試合後のコメント】
遠藤 もかさんとは一番キャリアが近い先輩なんですけど、引き分けはめちゃくちゃ悔しいけど、めっちゃ楽しい試合が出来たなって思います。見てくれたみんなありがとうございます。
――宮本選手は6月26日の両国KFC大会で自力初勝利しましたが、その辺は意識しましたか?
遠藤 めちゃめちゃ凄いと思ったし、自分も負けたくない気持ちが強かったです。
もか 今日有栖ちゃんとのシングル、初めての後輩とのシングルだったんですけど、この間初めて勝って、シングルでも初勝利したいなってずっと思ってて、今日頑張ったんですけど、有栖ちゃんも凄い強くて、時間切れ引き分けドローということで、勝つこと出来なかったんですけど、今度は勝ちたいし、15分じゃなくてそれ以上(の時間の試合)で勝敗付けたいなって思います。ありがとうございます。
――シングルの時間切れ引き分けは初めてだと思うんですが、経験してどういうことを思いましたか?
もか もう時間経ったんだ、っていうのが強いですね。あっという間の15分で。15分も動いたことが無かったんで、自分が15分も動けるんだって、試合が出来ることにもビックリしたし。絶対に負けたくないっていう気持ちが強かったので、どうしても負けたくなかったので粘り続けて。有栖ちゃんもそうだと思うんですね、負けたくないっていう思いが強くて、お互いが粘り続けてドローだったんですけど、次は勝ちたいです。
セミファイナル 15分一本勝負
坂崎はAEW遠征前最後の試合。鈴芽のロックアップを坂崎が振り払う。鈴芽がバックを取れば、坂崎は飛行機投げからグラウンドで腕を固めていく。そのまま何度も押さえ込むもカウント2。鈴芽のブリッジの上に坂崎が乗ると、鈴芽は耐える。鈴芽がモンキーフリップを決めると、坂崎は投げを見舞って再度グラウンドへ。隙を突いた鈴芽が逆さ押さえ込みを見せれば、坂崎も丸め込みを返す。距離が開くも腕の取り合いから、フライングメイヤー合戦。そこから丸め込み合いになるがどちらもカウント3は許さず。再び坂崎は腕を固めながらグラウンドで押さえ込む。鈴芽はロープにブレイク。向かって来る坂崎に鈴芽が横入り式エビ固めから飛び付いてレッグシザースで投げを見舞う。向かって来る鈴芽に坂崎はエルボーで迎撃すると、アームホイップからボディスラム。そのままボディスラムを3連発もカウント2。坂崎が共に前転してのキックを狙うが、鈴芽がかわすと低空ドロップキックを決める。続けて坂崎がブレーンバスター狙いも、鈴芽は着地するとバックエルボーからドロップキックを決める。坂崎がロープに振ろうとするも鈴芽はドロップキック。ロープを使ってのフェイスバスターからコーナーに上る。坂崎が追いかけるが、振り払った鈴芽がダイビング・ボディアタック。カウント2。そのままスリーパーを決めるも、坂崎が振り払う。何度も鈴芽はしつこくスリーパーを狙うも、坂崎が抜け出すと鈴芽は丸め込みを連発。クリアした坂崎が垂直落下式ブレーンバスター。カウント2。坂崎はローリングエルボーからマジカルメリーゴーランド。これが決まると鈴芽も返せず3カウント。
【試合後のコメント】
鈴芽 今年タッグのベルトに挑戦したりもあって、シングルをあまりしていなくて。今月プリンセスカップ控えてるってことで、ここでユカさんと闘えるってことは自分の中で今出来ることを全部ぶつけられるし、成長出来るチャンスだなと思って全力で挑んだんですけど、壁はめちゃくちゃ高かったです。ユカさんは1カ月くらい海外に行かれてめちゃくちゃ活躍されてくると思うんですけど、私も7月は4連戦のプリンセスカップがあって、4連戦は未知の闘いになると思うし、ユカさんが帰って来た時に、ちょっと目を離した隙に鈴芽よくなってるじゃん、って思ってもらえるような進化の夏にしたいと思います。
――パートナーの魅星選手がメインで特殊ルールで闘いましたが、そこについてジェラシーなどはあったりしますか?
鈴芽 特殊ルールに対するジェラシーは無いですけど、魅星に対してはデビューする前から私の前にずっといるので、今日もルールは違うけど、負けられないっていう気持ちはありました。それはもちろん第一試合の後輩2人も勢いが凄いから、その3人に負けたくないっていう気持ちもありました。
坂崎 ここからまた1カ月ちょっといなくなるんですが、その前に鈴芽とシングルを出来て良かったなと単純にシンプルに思いました。私が居なくても東京女子こんなに成長してるし頼もしいんだな、というのを体感出来たので、私も自信を持って東京女子のプロレスをアメリカに持っていけるなと思って。今日の興行出来て良かったなと思いました。
――今年はシングルトーナメントに出場出来ないことになりますが?
坂崎 ね! ビックリしました! 気付いたら出れないんですね、そういえば! 私カップ獲ったことないんで、今年こそはと思ってたんですけど、物事はタイミングなんで、これもこれで運命なのかなと。私にとっても試練なのかなと思いますので、私の出来ることで、私の出来るチャンスで全部自分の力に変えてまた進化したいなと思います。
――アメリカでの目標はありますでしょうか?
坂崎 試合はどこで何があるのかっていうのも全然決まってないんですけど、一番大きいAEW Dynamiteには出るっていうのは決まってはいるので。対戦相手は全然わかんないんですよね。でもチャンピオンであるブリット・ベイカーという選手がいるんですが、歯医者さん(ベイカー)に歯を折られたんですね。その仕返しをしてやりたいっていう気持ちはあります。
メインイベント 20分一本勝負
UWFルール~5ロストポイント制
※Skull Kick
試合前に改めてルールの説明。主なルールは以下の通り。
・試合は20分一本勝負でおこなわれる。
・決着はギブアップ、KO(10カウント以内にファイティングポーズをとれなかった場合)、レフェリーストップ、TKOのいずれかとなる。スリーカウントのフォールはない。
・ダウンカウント中の相手への攻撃は禁止。
・5ロストポイント制を採用。ダウンまたはエスケープを奪われた選手はロストポイントが加算され、5ロストポイントとなった選手はTKO負けとなる。
・頭突き、ヒジ打ち、拳での顔面打撃、4点ポジションでの打撃攻撃は反則となる。反則はレフェリーの判断により注意、警告、反則負けが宣告される。
両選手が入場し、対面状態で改めて木曽レフェリーが2人にルール確認。握手から試合開始のゴング。会場は大きな手拍子。山下がローを放つと、魅星もローを返していく。魅星が組み付こうとするも、山下は打撃の間合いをキープしようとする。山下のローを捕まえようとした魅星だが、すぐに山下は立ち上がる。魅星が低いタックルを決めると、山下が潰してがぶりの体勢。しかし魅星が切り返してミラマーレを狙うが山下は防御。バックに回った魅星がスリーパーを狙うも、山下は相手の腕を掴みガード。体を入れ替えた山下が上を取るが、魅星も上を取り返す。魅星はハーフガードの体制からサイドポジションへ。山下が嫌って逃げようとすると、魅星はバックを取って山下の両足を固める。そこから魅星が股裂きと逆片エビの複合のような技を決めると山下はロープにエスケープ。山下がロストポイント1。スタンドで試合再開すると、魅星が一気に組み付きグラウンドへ。猪木アリ状態から、魅星が足を取ろうとすると、そこを支点に一気に絡みついた山下がスリーパー。魅星が防ぐと、山下は腕十字。魅星がロープに逃げてロストポイント1。山下がスピンキックのフェイントからローキック、前蹴りを見せる。山下のローとミドルが連打で当たり始めると、魅星はカウンターの左のラリアット。この一発で山下はダウン。山下は立ち上がるも、これでロストポイント2。再開すると、一気に距離を詰めた魅星がミラマーレで捕獲。胴締め式に腕を極めると、山下はロープにブレイク。山下ロストポイント3。再開すると山下のハイキックが決まり魅星はダウン。ダウンカウントの途中で魅星が立ち上がり、ロストポイント2。山下が蹴りのラッシュ。ミドルキックをキャッチした魅星だが、山下は倒れ込んだ状態から魅星の顔面にキック。距離が開くと立ち上がった山下は左の掌底のラッシュからSkull Kick一閃。ダウンカウントが数えられるが、魅星は立ち上がれずダウンカウント10。KOにより山下が勝利した。
エンディング
初のUWFルールは山下が魅星をKO! バックステージで魅星は涙ながらに決意を語る!
勝利した山下がマイクを持つと「これが……UWFルールか……めちゃくちゃ楽しい!(会場拍手)皆さん、初めてこのルールで闘ってる姿、見た人いると思うんですけど、皆さんどうでしたか?(会場拍手)よかった、私もずっとこのルールで闘ってみたいなって思ってたんで、今日は魅星を相手にしてこういう闘いが出来て凄く嬉しいです(会場拍手)今日みたいな大会は、こういう風に見たことのない新しい東京女子の姿を見ることが出来ていいんじゃないかなと思いますし、これからもみんなが新しい闘い方、そして東京女子プロレスの新しい楽しみ方を見つけてくださればいいかなと思います。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました!」と大会を締めくくった。
【試合後のコメント】
山下 初めてUWFルールでさせてもらって、本当に自分もUWFだったり色んな団体さんを見てたので、いつかこのルールでやりたいなって思ってた中で、こういう東京女子の企画の一つとして始まったこの大会の中でやれてめちゃくちゃ楽しかったです。魅星は柔道のバックボーンがあったんで、グラップリング、寝技が強いだろうなと警戒していて、立ち技で一本取れればいいかな、というのが自分の中ではあったんですけど、やっぱりタックルだったり、パワーもあって。寝技は結構やられたなというのは悔しい部分がありますけど、自分の武器である打撃で勝てて嬉しかったですし。最初驚いたのが魅星がローキックを仕掛けて来たんで、ここに合わせて魅星も準備してきたというか、魅星の勝負心が見れて自分も楽しかったですね、めちゃくちゃ。今回だけに限らず、このルールでやることを許されるならまたやりたいなと思いますね。めちゃくちゃ楽しかったです。
――誰でも出来るというものではないと思いますが、今回だけで終わるのか、線になる可能性はありますか?
山下 東京女子の中で、ですよね? 魅星もそうですし、自分も空手をやってる部分があるし、柔道をやってる部分があるので、そこのバックボーンがある子がもっと増えれば。もかとか結構そこの練習を意識した練習、蹴りだったりを実践的にやれば今回みたいなルールも出来るし、シンプルに坂崎も強いと思います(笑)グラップリングも強いし。打撃はちょっとわからないですけど、グラップリングが坂崎は強いので。坂崎とかもかで線は繋がるのかなーとは思いますけど、本人たちがやりたいのかやりたくないのかっていうのもあるし。団体としてもそのルールをまたやるのかっていうもわからないんで。私はやっていきたいなと思いますね。
――今日の経験は今後のタイトルマッチやトーナメントに活かしていけそうですか?
山下 そうですね、今日の試合で自分がグラップリングがまだまだだな、っていうのに気付いたので、そこはプロレスでも必要になってくる部分だと思うので。そこをやっていきたいな、という活かし方はありますね。
魅星 負けました……悔しいです……。でもここからだと思うので、この悔しさをバネに色んな壁を乗り越えて、自分らしく強くなっていきたいと思います。つまずいたら立ち上がればいいので。自分らしく突き進んでいきたいと思います。そして、今山下さんの蹴り食らってぼーっとしていて上手く言えるかわかんないんですけど……(涙ながらに)自分は今まで闘って来て、佐山聡の秘蔵っ子、初代タイガーマスクの秘蔵っ子って言われて来て、そういう目で見られることが多くて、何かの記事になる時もそうでした。とてもありがたいことではあるんですけど、自分自身その名前に甘えてるなという部分も思っていて。どんどん試合をしていくうちにそういう甘えている自分に対して悔しいなっていう気持ちも強くなってきていました。今回UWFルールということで、山下さんとそのルールで闘えるのは……とても楽しみではあったんですけど、自分的には覚悟を決めて挑んでいる部分がありました。今日闘って思ったのはもうその名前には甘えたくないなと思いました。ここからはもう魅星自身なんですけど、その名前に甘えないようにここから自分の描く、魅星自身の描くストロングスタイルに向かって、魂込めて全力で向かって行って、魅せていきたいなと思っています。ありがとうございます。
――また機会があれば今回のルールで闘ってみたいと思いますか?
魅星 今回やってみて、負けて悔しいので、また機会があればやりたいです。
――次もやること前提で聞きたいのですが、張り手や掌底を出すこと自体に躊躇があるように感じたように見えたのですが、それは技術的な問題か気持ち的な問題か、舞海選手としてどっちでしたか?
魅星 自分としていつもやっている部分で勝負していきたいというのがあったんですけど、今回初めて蹴りを使ってみたというのもあるんですけど、使ってみて思うのはやっぱりいつも通りの自分でやっていきたいなって思ったので、これからも自分のスタイルは変わらないと思います。