伊藤、悲願のプリプリ王座初戴冠ならずも瑞希との“黒歴史”を成仏「伊藤はオマエを心からリスペクトしている」
TJPW最高峰のタイトル、プリンセス・オブ・プリンセス王座を巡る争いは王者の瑞希が伊藤麻希を退けV3。7年前、伊藤リスペクト軍団を結成していた2人だが、伊藤にとっては「自分が何もできず(瑞希に)手を伸ばすことしかできない、嫉妬することしかできなかった時代」であり、本人にとっては“黒歴史”。しかし、伊藤も実績を積み重ね、ついには米国マットで不動の人気を獲得。こうして大田区というビッグマッチで瑞希とともにメインを張ってみせた。瑞希と「やっと今同じ目線に立った」伊藤は腰攻めで王者を苦しめた。終盤には逆エビ固め、さらに伊藤パニッシュから伊藤デラックスを仕掛けたがニアロープでギブアップを奪えず。ここから王者の執念が上回り、ダイビング・フットスタンプを後頭部、さらに背中に放ち、追いすがる伊藤をバックブローからキューティースペシャルで決着をつけた。
「私たちが一緒に平行線で歩んできた道は間違ってなかった。今日は私が勝ったけど、伊藤さんはライバルです」と言う瑞希に伊藤は「今の伊藤はオマエをライバルとか思っていない。ライバルというか、伊藤はオマエを心からリスペクトしている。これからも一緒に闘ってください」と称えたが、瑞希から握手を求められると思わず涙。瑞希に引き寄せられ熱い抱擁を交わして引き揚げた。バックステージで伊藤は「こういう相手に出会えてよかった。あれだけ“黒歴史”と言ってたけど、成仏できた気がします」と清々しくコメント。しかし報道陣から「瑞希との物語は続いていくか?」と聞かれると「簡単に答えを求めるんじゃない。それはオマエらが考えろ」と煙に巻いていた。
【試合後のコメント】
瑞希 ありがとうございました! すごい今は、ちょっと安心しているというか…。私が歩んで来た過去も、この必死な防衛ロードも、間違ってなかったんだなって思えるし、ここから先の未来も東京女子のみんなと一緒に歩んでいける、伊藤さんと歩んでいけるって、ゆかっちと残り少ない時間、でも、ずっとずっと歩んでいけると思ったらすごい幸せだなと思いました。本当に愛されてるなと思いました。ありがとうございました。
――伊藤からリスペクトしているという言葉もあったが。
瑞希 そんなんもう出会った時からずっとずっと…伊藤さんっていっぱい変わってきたけど、ホントにカッコいいなと思うところはずっとずっとカッコよくて。ずっとずっと私はリスペクトし続けてきたので、なんかホントに胸を張って伊藤さんのことをライバルって言えます。
――トーナメントが始まります。
瑞希 そうじゃん! でも私、トーナメントに割と強いプリンセスなんですよ。だから、私が優勝して防衛戦の相手を指名したいと思います。
伊藤 …負けました。まぁ、でももう言うことはないです。今日に関しては伊藤が負け。次やったらね、どうなるかは全然分かんないけど、こういう相手に出会えたのも良かったなと思います。なんか…分かんない。あれだけ黒歴史って言ってたけど、なんかやっててよかったかも。なんか、成仏できた気がします。ありがとうございました。
――瑞希との物語は続いていく?
伊藤 それはお前らが考えろ。もうね、簡単に答えを求めるんじゃないよ、アンタも。そりゃ簡単だけどさ。伊藤がいまの気持ちを言葉にしちゃえば。分かるよ。みんな分かりやすく応援できると思うんだけど、アンタたちそれでいいわけ? もっとここ(頭)を使いなさいよ、もうちょっと。伊藤はあの時どう思って、なんで握手をしたのかとか。ちゃんと頭を使いなさい。頭があるんだから。
ユキ、熱闘もインター王座に届かず…「私はまだベルトを巻く器じゃなかった」
愛野ユキのシングル王座初戴冠はまたしてもお預けとなった。「燃えて灰になる」闘いを望んで辰巳リカの持つインターナショナル・プリンセス王座に挑戦したユキ。場外マットへのサイド・スープレックス、さらにエプロンからのぶっこ抜きサイド・スープレックスとパワフルに攻め、リカのスリーパーも強引に叩きつけて解除。ホワイトドラゴンスリーパーもロープに逃げ、ショルダーアタックも決めてみせたが、ヒップアタックをキャッチしたところでまさかのツイスト・オブ・フェイトに切り返され、そこから一気にミサイルヒップを投下され万事休す。
試合後、「リカさんとの闘いで今までで一番燃焼できた。一番楽しかった。完全燃焼できた」と振り返ったユキだったが「その上で勝てなかった。私はまだベルトを巻く器じゃなかった」と悔しさを露わにしていた。
【試合後のコメント】
リカ 生き残ったのはダイヤモンドヒップを持つ辰巳リカです! だけどだけど、輝いてたのは私だけじゃなくて、ユキも見たことないぐらい輝きを放ってました。だから、もちろん自分のこれからの防衛ロードも楽しみになったし、さらにユキの、これからも楽しみだなって感じました。あー、ちょっともう夏を終わらせるって言っててなんですけど、もう夏がきたって感じでめちゃくちゃ楽しんじゃって。ネクスト・サマー、続きます! 見ててください、ありがとうございました!
――挑戦者のどういう部分がいつもと違った?
リカ もともと熱い闘志っていうのは持ってる選手だと思ったんだけど、怖さというか。怖いユキも知れたなって。うん、ホントにもう、私も1粒残ったって感じなので、ギリギリでしたね。こんなにやるとは。完全見切ったとか言って、まだまだでしたね、私も。
――今日、タイトルマッチで闘えてよかった?
リカ ホントにお互いまたいい経験になって。さらなる辰巳リカと愛野ユキ、期待しててほしいなって思いました!
――今日の勝因は?
リカ 試合の時はホントに直前ももう無理だ、逃げ出してやる…!って感じなんですけど、もうなんか突き抜けて、宇宙が見えたじゃないですけど。うん、見えちゃってますね。知らないゾーンに来たからだなって思います。
ユキ 私はまだベルトを巻く器じゃなかった。それがこの結果だと思います。ただ、りかさんと闘うのは本当に、今までで一番燃焼できた。一番楽しかった。完全燃焼できたと思います。そのうえで私はまだ勝てなかったです。たくさん期待してくれてた人がいたこと、その応援はすごい伝わってきてるので。それに応えられなかったことが本当に悔しいんですけど、また頑張るのでこれからも見ててください。ありがとうございました。
荒井、赤井から伝授の新人賞を沙希様に決める!「今日その一歩を踏み出す場に」
荒井優希が上原わかなとのタッグでNEO美威獅鬼軍の沙希様、メイ・サン=ミッシェルと初対戦。荒井は普段、“令和のAA砲”を組む赤井沙希と“瓜二つの別人”沙希様と向かい合うとビッグブーツを連発。沙希様も後ろ髪を掴んで引き倒し、ランニングミドルを繰り出す。荒井はビッグブーツを放つと、赤井から伝授された新人賞を発射。サソリ固めはメイ・サンにカットされてしまった。終盤には荒井が沙希様にFinallyを狙うも、メイ・サンがトレイで阻止。最後は沙希様は新人賞と同型のアカデミー賞で荒井のパートナーの上原から勝利。カバーの際は荒井を見やるようにフォールを奪ってみせた。
新人賞を出した理由を「赤井さんに教わった技なんですけど、これからたくさん使っていきたいと思っていたんですけど、なかなかその一歩を踏み出せなかった。今日、その一歩を踏み出す場にしたいなと思って出させていただきました」と明かした荒井。「振り返った時にすごい大きな出来事だなと思うことが大田区には詰まっている。今日、わかなちゃんと初めて組んで先輩たちに立ち向かったことは、きっとあとから『あの時があったから』って思えるんじゃないかな」と話した。
【試合後のコメント】
メイ・サン 沙希様! メイ・サンの初めてのおダンスをご覧になってくださいましたか?
沙希様 ワタクシがお外にいる時に、ダンスされてたのよね。あらなーに、これ夢みたいだわ。
メイ・サン 沙希様がお褒めになってくださったということは、メイ・サンのダンスは世界一でございますね?
沙希様 そうよ。ワタクシ、メイ・サンがブロードウェイでの経験でもあるのかと思ったわ。素晴らしかったわ。今日久しぶりにリングで舞い踊ったのだけど、なあに、あの対戦相手の方たち。まぁ少しは光ってるようには見えたけど、ダイヤの原石なのか、ただの石ころなのか。それもこれからみなさんが判断すればいいんじゃなくって。いいこと? ワタクシと誰かを重ねて見ているようだけど、失礼しちゃうわ。ワタクシはワタクシしかいないわけ。唯一無二の存在なの。いいこと? そのへん、勘違いしないでいただける? 頭が高くてよ。あーあ。世界一美しいのはだーれ?
メイ・サン 沙希様でございますわ。
沙希様 世界一バラが似合うのはだーれ?
メイ・サン 沙希様でございますわ。
沙希様 NEO美威獅鬼軍ベイビーちゃんたちを愛しているのはだーれ?
メイ・サン NEO美威獅鬼軍でございますわ。
沙希様 そういうことよ。
――荒井が新人賞を使ってきたが?
沙希様 ごめんなさい。言ってる意味が…まだフランスから来てすぐだから分からないのだけれど、ワタクシがやってるのはアカデミー賞なわけ。そのへんの技と一緒にしないでいただける?
荒井 今、美威獅鬼軍とは私たちふたりとも闘ったことがなかったので。やっぱり映像で見たりした分にはキレイだなとか、カッコイイなとか、そっちの方ばっかりに目がいっていたんですけど…すごく連係とかもスムーズで、技のひとつひとつがすごく重くて。美威獅鬼軍が美しいだけじゃないっていうのがすごく伝わってくる試合で、ホントにまたやりたいし、倒したいと思いました。
上原(涙)すごい荒井さんが引っ張って、頑張ってくれたのに…私が足を引っ張ってしまって。いまもホント悔しいし、でも…悔しいけど、それだけ本気になれたし。この先もまだまだたくさん闘っていきたいなって思いました。でもやっぱり美軍はホントに強くて…でも荒井さんがいてくれて、すごく心強かったです。
――新人賞のような技を使いました。
荒井 新人賞をやりました。沙希様が赤井さんと似てるってことで、私自身も重ねて見てしまう部分があって。新人賞は赤井さんに教わった技なんですけど、2人でタッグを組んでいた時から一度もやっていなくて。これからたくさん使っていきたいと思っていたんですけど、なかなかその一歩が踏み出せなかったので。今日、その一歩を踏み出す場にしたいなと思って、出させていただきました。
――大田区はキャリアの中でターニングポイントになる試合が多いが今回は?
荒井 そういうターニングポイントはその時は全然分からなくて。大田区もその時はまだ全然気づけていなかったんですけど、振り返った時にすごい大きい出来事だなって思うことが大田区には詰まっているので。今日、わかなちゃんと初めて組んで先輩たちに立ち向かったことは、きっと後から「あの時があったから」って思えるんじゃないかな。
ナイラが未詩を称賛「“世界の扉”は確実に開くことができたんじゃないかな」
今大会にはナイラ・ローズ、マックス・ジ・インペイラー、バートビクセン、ソーヤー・レックといった外国人選手が大挙してTJPWマットに参戦。
AEW世界女子王座を腰に巻いたナイラは渡辺未詩とのシングルマッチで世界標準のパワーを見せつけた。序盤からジャンピング・ボディープレス、ラリアットとフルスロットルのナイラ。未詩得意のジャイアントスイングも1回転止まりに終わらせた。「持ち上げたことは認めるけど、私は研究していた。回しに来ることはわかっていたからしっかりと体重を増やしてきた。日本に着いた時からココイチでカツカレーを食べて、刺身を食べて」(ナイラ)アバランシュホールドで抱えられ、レーザービームで追い込まれるもティアドロップを着地したナイラがビーストボムで叩きつけて勝利した。それでも未詩のファイトには感じるものがあったようで「彼女は今日勝てなかったけど、確実に何かを持っている。勝てなくても“世界の扉”は確実に開くことができたんじゃないかな」と称えていた。
ソーヤーは山下実優の持つプロレスリングEVE王座に挑戦。タイトルを奪取し、EVEへの通行手形をゲットしたいソーヤー。場外カウントなしの「スピリット・オブ・EVEルール」を最大限に生かし、場外でのイス攻撃や、ステージで組み立てたイスへデスバレーボムで叩きつけるなどやりたい放題。リングに戻ってもイスを持ち出したが、山下に見切られ蹴りで迎撃されると、Skull kickで3カウントを聞いた。
ビクセンは自身が保持するDFEY女子王座を懸けて乃蒼ヒカリと対戦。久々のシングル王座戴冠へ並々ならぬ気合いを見せるヒカリ。激しい打撃戦からビクセンが雪崩式ブレーンバスターを決めれば、ヒカリもブリザード・スープレックスで投げるなど一進一退。最後はヒカリの最後の晩餐をクリアしたビクセンが垂直落下式ブレーンバスターで叩きつけ、6度目の防衛に成功した。
インペイラーは3WAYタッグマッチで宿敵・アジャコングと再会。さっそく視殺戦を繰り広げたが、試合は中島翔子&ハイパーミサヲの享楽共鳴に最後までかき乱された。アジャとラリアットを打ち合う場面から、なんと享楽共鳴をボディーアタックで挟み撃ちした際にはアジャとハイタッチをかわす場面も。すぐにラリアットでアジャをなぎ倒すも、パートナーの原宿ぽむとの合体技「ウェイストランド・ウォー・じゃすてぃす」は中島にかわされ、さらにコルバタで場外に送り出されると、アジャともどもミサヲの戦闘用チャリンコ「ハイパミ号」に轢かれてしまい、その間に中島がぽむにダイビング・セントーンを放って勝負あり。インペイラーはコメントブースの机をなぎ倒すなど怒り心頭。アジャも壊れかけたハイパミ号にさらにトドメを刺しにいくなど、試合後も大荒れとなった。
長野が復帰も有栖にギブアップ負け「パワーアップしないと…」
今大会で長野じゅりあが半年ぶりに復帰したが、遠藤有栖にギブアップ負け。「ブランクはある。パワーアップしないといけない」と危機感を募らせた。
この日、長野は宮本もかとの空手タッグで“でいじーもんきー”鈴芽&有栖と対戦。跳び蹴りやブラジリアンキックなどで攻め立てた長野だったが、得意の旋風脚を有栖にかわされてしまうと、キャメルクラッチで捕獲されてしまう。これはロープに逃げたが、もかとのダブルの攻撃は鈴芽に分断され、孤立した長野が有栖の磐梯山、水車落とし、キャメルクラッチと畳みかけられ敗北。
「たかが指2本かもしれないけど本当に復帰できないと思っていて。だけどいろんな人の支えやファンの方の応援、先輩方のご指導もあって間に合うことができた」とバックステージで安堵の表情を見せた長野だが、負けは負け。「鈴芽さんも有栖さんも強くなっていて。また練習してリベンジの場を設けて欲しい。2人のパワーに押されて体力もパワーもないと感じた。早急にパワーアップしないといけない」と危機感を募らせた長野。「自力での勝利も2回しかない。復帰後早々、自力勝利を取りたい」とコメントした。
★全試合の詳細はWRESTLE UNIVERSEをご覧ください!
https://www.wrestle-universe.com/ja/lives/4GB6CgxNDmMotyZJFu9qh6
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